みなさん、こんにちは。
今回は、日本時間2022年1月15日に行われた、プレミアリーグ第22節 マンチェスターシティ vs チェルシーの試合を振り返ります。
2チームともめちゃくちゃ技術レベルが高く、見どころがたくさんあるとても面白い試合でした。
今回の試合のデータです。
対象の試合 | プレミアリーグ 第22節 マンチェスター・シティFC vs チェルシーFC |
ハイライト | 【マンチェスター・C×チェルシー|ハイライト】シティがデ・ブライネのゴールで上位対決を制し、リーグ戦12連勝を飾る|プレミアリーグ 第22節|2021-22 - YouTube |
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総評
当たり前ですが、両チームとも技術や個の判断能力が非常に高く、これが「世界トップレベル」のサッカーだなというように感じました。
この試合では、マンチェスターシティはいつも通りのマンチェスターシティらしいサッカーを行おうとし、チェルシーは相手にやりたいことをやらせないようにサッカーをしていました。
試合を通して、チームとしてはチェルシーの方が狙いがはまり、マンチェスターシティを上回るシーンが多かったように思いますが、
攻撃陣の個の能力はマンチェスターシティの方が高く、最終的にはそこで決着がついたのだと感じました。
今回は、両チームの攻守における狙いに着目して試合を振り返りたいと思います。
分析
まず、両チームの攻守における狙いを簡単にまとめました。
マンチェスターシティ
オフェンス
- 相手ディフェンスラインの裏を狙い、ラインを下げさせようとする
- 相手のラインが下がったら、スペースが開いた中盤でボールを保持する
ディフェンス
- ハイプレスをかけ続け、ビルドアップをさせないようにする
チェルシー
オフェンス
- WBを上手に使いながらビルドアップ
ディフェンス
- ディフェンスラインを高く設定し、中盤のスペースを空けないようにする
マンチェスターシティの攻撃とチェルシーの守備、マンチェスターシティの守備とチェルシーの攻撃がそれぞれ対になっているのがわかると思います。
これはマンチェスターシティは基本的に相手チームに関係なく、自分たちのサッカーをしようとすることから、それに対してチェルシーが対策をしたのではないかと推察できます。
マンチェスターシティの攻撃 vs チェルシーの守備
マンチェスターシティのサッカーはボールを保持して、試合を支配しようとするサッカーです。そのためには中盤で数的優位やスペースを作る必要があります。
マンチェスターシティと対戦するチームはディフェンスラインを下げて、ゴール前を固める戦法をとることも多いですが、チェルシーはディフェンスラインを高く設定し、数的優位やスペースを与えないようにしました。
そこでマンチェスターシティは相手ディフェンスラインの裏を狙い、チェルシーのディフェンスラインを下げさせようとしました。
※マンチェスターシティの中盤での数的優位の作り方は後日紹介したいと思います。
しかし、チェルシーのディフェンスはラインを簡単には下げようとしなかったため、マンチェスターシティはトップの選手が落ちてボールを受けるスペースがなく、いつもより簡単にはボールをつなげませんでした。
その中でも2列目からの飛び出しや、的確な立ち位置によってゴールに迫るマンチェスターシティの攻撃は素晴らしいものがありました。
また、試合を通じマンチェスターシティの攻撃陣を十分に抑えた守備陣は合格点だったのではないでしょうか。
相手のポゼッションに対して、簡単にディフェンスラインを下げない勇気とディフェンスの個の能力!
マンチェスターシティの守備 vs チェルシーの攻撃
マンチェスターシティは常に前線からプレスをかけ、相手ゴールに近い位置もしくはロングボールを蹴らせることでボールを奪う守備を行います。
ボールロストしてからの切り替えがとても速く、相手に攻撃の準備をさせずにボールを奪ってしまします。
この試合でも、マンチェスターシティは前線のプレスと即時奪還は常に行おうとしていました。
これに対し多くのチームは、ボールを自陣からつなぐのではなく、早めに相手陣地にボールを送り込み、そこから攻撃を試みることが多いです。
しかし、チェルシーは確かな技術とWBの立ち位置によって対抗しました。
チェルシーのビルドアップが上回ったとき
チェルシーのビルドアップがマンチェスターシティの守備をかいくぐった場面は以前チェルシー vs リバプールの解説を記載した際に触れているので、もし気になる方は下記のコラムをご覧ください!
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【プレミアリーグ 第21節】チェルシー vs リバプール レビュー
チェルシーvsリバプールで特に気になったWB(ウイングバック)へのプレッシャーについてレビューしました。
一応今回は簡単に解説します。
今回の試合もリバプールと同じく、チェルシーのWBに対して、マンチェスターシティのCMFかSBがプレッシャーに行く場面が多かったです。
WBは相手のCMFやSBもマークしづらい微妙な立ち位置のため、マークに行くまでの時間がかかり、WBは余裕を持ってプレーすることができます。
もし、WBに対してマンチェスターシティのCMFがディフェンスする場合はWBの真横のボランチへのパスコースが開きやすくなります。
また、WBに対してマンチェスターシティのSBがディフェンスをする場合はSBの裏のスペースが開くだけではなく、チェルシーの前線3枚とマンチェスターシティの守備陣3枚が同数になり、マンチェスターシティにかなりのリスクがあります。
チェルシーはこのようにWBをうまく使い、ビルドアップをしていました。
マンチェスターシティの前線からのプレスが上回ったとき
一方でマンチェスターシティの守備がチェルシーのビルドアップを阻止した場面もありました。
ポイントは「遅れない」と「数的同数と横ズレ」です。
遅れない
この試合では特にWBへのプレッシャーで遅れないようにすることが重要です。
つまり、WBがボールを持った時にはすでに強いプレッシャーがかかっていることが不可欠になります。
マンチェスターシティがチェルシーにビルドアップをされたときは大抵、WBにプレッシャーがかかってないorプレッシャーが遅いことが原因でした。
数的同数と横ズレ
ボールホルダー含め、ボールの周りの選手にしっかりとマークにつくことが非常に重要です。
数的不利な状況でプレシャーをかけてもボールを保持しているチームの技術レベルが高ければ、三角形を作られてボールを回されてしまいます。
そのため、数的同数を守備側が作り出すことはマストになります。
また、数的同数を作り出すために必要なことが横ズレです。
先ほども記載しましたが、チェルシーのWBに対してマンチェスターシティのCMF、SBがプレッシャーに行くことが多かったですが、CMFがプレッシャーに行く場合は、WBの真横のボランチがフリーになりやすくなります。
このボランチにマークをつけばボールを奪取できる可能性が高くなることがわかると思います。
マンチェスターシティの選手も味方が横ズレをしておらず、怒っていたシーンがありました。
まとめ
マンチェスターシティ、チェルシーの攻守に着目して、よかった点、悪かった点をまとめてみました。
チェルシーはWBを上手に使いながらビルドアップをしていましたが、マンチェスターシティは特に横ズレを意識して守備をしていました。
今回のポイントは下記になると思います。
相手のポゼッションに対して、簡単にディフェンスラインを下げない勇気とディフェンスの個の能力!
プレッシャーのタイミングは絶対に遅れないようにする。
守備のときに数的同数を作り出すための横ズレ
世界では攻撃のときの個の能力はもちろんですが、守備のときの個の能力や判断が非常に質が高いと感じました。
攻撃面ばかりに注目されがちですが、守備にもフォーカスを当てる必要があると感じました。
最後に余談ですが、今回のチェルシーのスタメンの中にかつてのアザールのようなドリブラーがいたらチェルシーが勝っていた気がします...